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プレパレーション ~子どもの頑張りを引き出すツール紹介~

更新日:2020年8月18日

プレパレーションとは、治療や検査を受ける子どもがこれから直面するであろう心理的混乱を事前説明を十分に行うことで最小限にし、かつ子どもの対処能力(頑張る気持ち)を引き出すような環境および機会を作る活動のことを指す。



幼少期、いきなり注射をされてショックを受けたり、怖くて暴れた経験をお持ちの方も少なくないだろう。




プレパレーションとは、そのようなショックの軽減、そしてその処置自体を受け入れるための環境作りのことなのである。



実際のプレパレーションでは、上記のような処置前の対応のみをすれば良い訳ではなく、 ①病院に行く前の親からの情報による心構え ②気持ちを処置から紛らわせる行為(Distraction) ③処置後のストレス発散の場の提供(Post Procedure Play) など多岐にわたる。



また、これらを進めるうえで、親や私たち医療者が行うべき要素として大事なことは、 ①子どもに正確な情報を伝えること  → 嘘をつくと、子どもは裏切られたという感情を抱いてしまうため。

②子どもが感情を表出できる環境を作ること  → 「嫌だ」「痛い」などの感情を否定したり誤魔化したりしないで、「チクッとするけど、~を治すために一緒に頑張ろう」など共感しつつ励ますことが大切。

③信頼関係を築くこと  → いきなりプレパレーションをするのではなく、親-医療者でその子どもに合わせた表現を選び、理解を深めるための説明を心がけること。 であると考える。





そう、プレパレーションの目的は、決して子どもがおとなしく従順に検査や治療を行うことができるということを目指しているのではないのだ。



実際の検査や処置は痛みを伴うことが多く、子どもが痛みや恐怖心を感じずにおとなしくしていることは不可能に近いであろう。



しかし、そのような状況においても、子どもたちが前向きに頑張ろうと自分の気持ちを整理できたり、泣き叫びながら処置を終えた後に、「ママ(パパ)、今日頑張ったんだよ!」と、嫌なことをなんとか乗り越えた! と自己認識することが、その後の子どもの人生において非常に重要なモノへと繋がっていくのだ。



実際のプレパレーションで用いられるツールとしては、人形(キワニスドール)を自分に見立てて処置を客観的に体験してみる手法や、処置や検査の写真を見ることによりイメージを膨らませる方法などがある。



プレパレーションはこんなにも子どもにとって重要なことであるにも関わらず、医療現場ではその行為に対する理解、そして人的コストが投資されていないことが多く、残念なことに、十分なプレパレーションが行われている病院はほんの一握りである。



小児病院であるなばまだしも、一般病院ではなかなか導入が進んでいない…というのが現実であろう。



恐らく、ジレンマを抱えている医療従事者も多いのではないか?と考え、本記事では本プロジェクトの共同代表である小野が作成したプパレーション用動画をご紹介したい。






我々は次の展開として、絵本でのプレパレーションを全国的に普及する活動に取り組んでいる訳だが、このような活動により、多くの子ども達の未来が明るいモノとなることを心より願っている。

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